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IT を活用した理事会を開催するために招集通知するに当たり、招集通知の記載事項として注意すべき点がありますか?
新しく理事会役員になられた方や日頃疑問に思われている方のご質問と回答を記載いたします。
理事会は、管理組合の「業務執行機関」と呼ばれ、多くの課題を討議・決議して総会議案とし
て上程する役割となりますので基本が重要です。
尚、PDFは行政及び当事務所の作成資料です。
先ずは、5つの質問をご紹介します。(2023年1月5日新規記載:1~5)
1. 管理組合と自治会とはどう違うのでしょうか?
2. 数年前に取得した個人情報を更新したいが、強制的に求めることはできますか?
3. 組合員から理事会議事録の閲覧を求められた場合、応じなければなりませんか?
4. 役員の資格について、説明してください
5. 役員に報酬を支払うことはできますか?報酬額はどのくらいが適当ですか?
Q: 管理組合と自治会とはどう違うのでしょうか?
A: 「管理組合」とは、名称の如何にかかわらず、法3条を根拠に、マンションの共
用部分等の維持管理を目的とした各区分所有者全員で組織される団体をさします
(区分所有法3条、標準管理規約6条)。
他方、「自治会」とは、一定の地域に住む人々が、生活環境の整備や福祉の向上、
防犯、防災などの当該地域が抱える課題について、住民同士が相互に協力・連携し
て取り組むことを目的とした任意組織ですので、必ずしも区分所有者全員が参加す
るわけではありません。
また、「コミュニティ形成活動」とは管理組合の組合員が相互に顔をあわせて直
接的に関わりあえる活動のことであり、日常のトラブルの未然防止や防犯や防災
などの観点や合意形成の円滑化の観点からも重要であるとの趣旨から奨励されてい
ます。
しかし、そもそも管理組合は、建物の共用部分等の維持管理を目的とした団体です
ので、当該目的から離れた一部の住民の親睦等にかかる活動は管理組合の活動では
ありませんし、それらにかかる費用を組合管理費として徴収・支出することができ
ないのは勿論です。
とはいえ、コミュニティ形成活動が合意形成や団体としての一元的活動への効用を
考えますと、建物の保存にかかる費用にだけ限定して解釈するのは妥当ではなく、
また、「自治会」の活動が、管理組合の活動と重なりある部分も多く、「管理組
合」に利益をもたらすこともあります。
このような「コミュニティ形成活動」なのですが、かかる表現が具体的に何を指す
のかが不明瞭なため、特に費用負担との関係でトラブルも多く生じていましたの
で、標準管理規約では、管理組合の活動規定本文からは、この表現を削除し、その
具体的活動範囲についてコメントで解説する一方で、適正化指針にあらためてそれ
を奨励するといった改正を行った経緯があります。
①組合員全員が参加していること、②組合員全員の利益に繋がる活動であること等
がひとつの基準と考えられます。その意味では、自治会活動は原則として管理組合
の活動とは区別されなければなりませんし、①、②の要件を満たすこのような活動
であれば、例外的に管理組合の活動に含まれると理解されます。
Q: 数年前に取得した個人情報を更新したいが、強制的に求めることはできますか?
A: 個人情報保護法は、個人情報の取得や保管等に係る手続き等を定めるものであり
情報取得の在り方までは規定していません。管理組合運営に必要な情報としてどの
ようなものがあり、それらの情報をどのように取得すべきかに関しては、管理規約
等に基づき決定される問題です。管理規約等の定めに従い対応することになります
Q: 組合員から理事会議事録の閲覧を求められた場合、応じなければなりませんか?
A: 標準管理規約では、理事会議事録は総会議事録の作成の規定を準用しています。その内容は、理事会議事録は理事会の議長を務める理事長が作成、保管し、組合員等の利害関係者の要求によって閲覧させることが規定されています(標準管理規約第49条、53条2項)。
Q: 役員の資格について、説明してください。
A: 区分所有法では、役員の資格についての規定はありませんが、。標準管理規約で
は、管理組合の理事及び監事である役員の資格を「組合員」と限定しています。た
だし、それぞれの管理組合が定める管理規約においてこの「組合員」要件を外すこ
とにより、外部専門家などを役員とすることも可能となります(第35条2項、同
条コメント①)。また、標準管理規約では、成年被後見人、被保佐人または破産者
で復権を得ない者、禁固以上の刑に処せられ、その執行が終わり、またはその執行
を受けることがなくなった日から5年を経過しない者、暴力団員または暴力団員で
なくなった日から5年を経過しない者は、役員とはなれないものとしています(第
36条の2)。役員は総会で選任され(第35条2項)、さらに、理事長、副理事
長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任されます(第35条3項)
法人は自然人と同様に扱われますので、勿論、役員資格も有することはできます
が、どのような役員構成をするのかは、原則的には、団体の自治が尊重されます。
Q: 役員に報酬を支払うことはできますか?報酬額はどのくらいが適当ですか?
A: 標準管理規約では、役員としての活動に要する必要経費の支払と報酬を受けるこ
とができるとしており、このような規定を設けて、総会で役員報酬予算の承認を得
て支給している例があります。報酬額はマンションの規模や事情によって異なって
きますので、それぞれの管理組合で定めることとなります(第37条2項)。
報酬額についての平成30年度マンション総合調査では、役員全員 に報酬を支払っ
ている管理組合は23.1%となっています。月額報酬額は、各役員一律で支払って
いる管理組合の平均値は3,900円、各役員一律でない場合の報酬の平均値は、理
事長が9,500円、理事3,900円、監事3,200円となっています。