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新しく理事会役員になられた方や日頃疑問に思われている方のご質問と回答を記載いたします。
区分所有法の概要は、一棟の建物を区分してその
各部分を所有権の目的とする場合の所有関係、その建物及び敷地等の共同管理の方法について定めた法律です。1団の土地に複数の建物が建てられ
ている場合、いわゆる団地の権利関係についても
定められています。
尚、PDFは行政及び当事務所の作成資料です。
先ずは、5つの質問をご紹介します。(NEW=2022年1月新記載:1~5)
1.共用部分の範囲は、どのように定められていますか。
2.建物の設置又は保存に瑕疵があった場合の責任は、誰にありますか。
3.各共有者は共用部分をその用法に従って使用することができるとは、どのような意
味ですか。
4.区分所有建物の復旧とは、どのようなことですか。
5.建替え決議とは、どのようなことですか。
.
Q:共用部分の範囲は、どのように定められていますか。
A:共用部分は、区分所有法で「①専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない
建物の附属物及び②4条2項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう」
(2条4項)と定めています。①を法定共用部分といい、②を規約共用部分といい
ます。
*法定共用部分の例示
(1)外壁、屋上、廊下、階段、エントランスホール、エレベーターホール等の建
物の部分。
(2)電気、ガス、上下水道等の配線配管やエレベーター設備、給水設備・排水設
備、消防・防災設備等建物の附属物で専有部分に属しないもの。
*規約共用部分の例示
(1)建物内の集会室、管理事務室、倉庫など。
(2)敷地内にある別棟の倉庫、集会室建物など。
なお、規約共用部分は、第三者に対抗するためには、その旨を登記する必要があ
ります。
Q:建物の設置又は保存に瑕疵があった場合の責任は、誰にありますか。
A:区分所有法9条によれば、建物の設置又は保存に瑕疵(通常有すべき完全性を欠い
ていること)があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分
の設置又は保存にあるものと推定するとされています。つまり、どの部分に瑕疵が
あったか不明ならば、その欠陥が特定の専有部分の設置又は保存にあることが証明
されない限り、管理組合(又は区分所有者全員)が共同して賠償責任を負うべきこ
とになります。
【判例】階上のベランダの排水口に管理の不備があることによって生じた漏水事故
につき、階上の区分所有者及び占有者に工作物責任を認めたものに(東京地裁平
成4年3月19日判決)、(京都地裁平成7年9月1日判決)があります。
共用部分である建物のオープン式廊下に立てかけてあった消火器が投下されて隣
家に損害が生じた場合において、所有者の工作物責任を認めたものとして(大阪
地裁平成6年8月19日判決)があります。
排水管からの漏水事故につき、排水管を共用部分として、階上の区分所有者の責
任を否定したものとして(最高裁平成12年3月21日判決),(東京高裁平成
9年5月15日判決)、(東京地裁平成8年11月26日判決)があります。
Q :各共有者は共用部分をその用法に従って使用することができるとは、どのような
意味ですか。
A:共用部分を「その用法に従って」(区分所有法13条)使用することができると
は、法定共用部分については、当該共用部分の構造上の使用目的に従って使用する
ことができるということです。例えば数個の専有部分に通じている廊下について、
各共有者は基本的に通行のためだけに使用することができ、物品を置くために使用
することはできません。規約共用部分については、規約で定めた使用目的または規
約で前提とする使用目的に従って使用することができるということです。
Q:区分所有建物の復旧とは、どのようなことですか。
A:復旧とは、区分所有建物の一部が滅失した場合に、滅失した部分を原状に復し、そ
の区分所有建物の効用を回復することをいいます。滅失の程度によって、小規模滅
失と大規模滅失とに区分され、復旧工事を行う場合には、それぞれ総会決議の方法
が異なります。滅失とは建物としての使用上の効用を失うことを意味します。
区分所有建物の2分の1以下の小規模滅失の場合は、総会の普通決議で復旧を行う
ことができます。また、区分所有建物の2分の1を超える部分が滅失した大規模滅
失した場合には、建替えのほか、管理組合は共用部分の復旧という手段をとること
もできます。復旧の決議は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上特別多数決議
で決議できます。そして、この決議に賛成しなかった区分所有者に対して、自己の
区分所有権の買取請求権が与えられています。
なお、団地の場合には小規模滅失や大規模滅失にかかわらず棟総会で決議すること
になります。
Q:建替え決議とは、どのようなことですか。
A:区分所有法に基づき、総会において区分所有の建物を、修繕ではなく、新しい建物
に全面的に建て直すことを決めることをいいます。
区分所有法62条で、組合員及び議決権の各5分の4以上の多数で、建物を取り壊
し、かつ、建物の敷地に新たな建物を建築する旨の決議をすることができると定め
られています。平成14年の区分所有法改正で、老朽化や損傷等の客観的要件を廃
止し、また、使用目的の同一性や、敷地の同一性などの要件が撤廃されました。
また、この建替え決議により、当該決議に賛成しなかった区分所有者に対して、区
分所有権の売り渡し請求権が発生し、その区分所有権の買い取りによって建替え事
業をすすめていくことが想定されています。