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新しく理事会役員になられた方や日頃疑問に思われている方のご質問と回答を記載いたします。
総会は管理組合の「最高意思決定機関」で年1回招集することが区分所有法で定められています。
理事会は管理組合の「業務執行機関」で、多くの課題を討議・決議して総会議案として上程する役割となりますので基本が重要です。
尚、PDFは行政及び当事務所の作成資料です。
先ずは、5つの質問をご紹介します。(2023年1月5日新規記載:1~5)
1.総会を開催する前に、どのような準備をすればよいですか?
2.総会の招集通知に示さなければならない「会議の目的たる事項」とは何ですか?
3.白紙委任状(委任先・委任記載の無い)はどのように取り扱えば良いですか?
4.委任状と議決権行使書は、異なるものですか?
5.書面決議の内容と書面決議を行う場合の手続きについて説明してください。
Q: 総会を開催する前に、どのような準備をすればよいですか?
A: 標準管理規約では、理事会で総会提出議案についての決議をすることになります
(第54条)。通常総会の場合には、収支決算報告が重要議案の一つとなりますか
ら、決算報告案の作成に要する期間が開催時期決定の主要因となります。
総会開催前の準備としては次のようなものが考えられます。
①総会日時及び場所を決定
②議案書を作成
③総会開催日の2週間前には開催通知を発し議案書を配布
Q: 総会の招集通知に示さなければならない「会議の目的たる事項」とは何ですか?
A: 総会の目的が次に掲げるような一定の重要な事項を会議の目的とする場合には、
その議案の要領をも通知しなければなりません(区分所有法第35条5項、標準管
理規約第43条4項)。
「議案」とは、決議内容についての案であり、「要領」とは、これを要約したもので
す。議案の要領とは、通知を受けた組合員がそれを見て賛否を表明できるもので、
以下の事項では要領も通知する必要があります。
ア.規約の制定、変更または廃止。
イ.敷地及び共用部分等の形状又は効用の著しい変更。
ウ.建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部
分の復旧。
エ.建替えの決議、等。なお建て替え決議であるときは、議案の要領のほか、次の 事項の通知が必要です。
a.建替えを必要とする理由
b.建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維
持又は回復をするのに要する費用の額及びその内訳。
c.建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の
内容。
d.建物につき修繕積立金として積み立てられている金額。
ただし、やむを得ず出席できない組合員も、自らが主体的に賛否の意思決定ができ
るように議決権行使書の活用が望まれることから、区分所有法の要請ではありませ
んが、総会の招集通知においては、上記事項以外についても、議案の内容があらか
じめなるべく明確に示すようにすることが望ましいでしょう(標準管理規約第46
条コメント⑤)。
【判例】
総会招集通知に議題として明記されていなかった規約制定に係る総会決議につき無
効とされたものに(東京地裁昭和62年4月10日判決)があります。
議案の要領は、事前に賛否の検討が可能な程度に具体的内容を明らかにしたもので
あることを要するとしたものに(東京高裁平成7年12月18日判決)があります
Q: 白紙委任状(委任先・委任記載の無い)はどのように取り扱えば良いですか?
A: 総会に当たり白紙の委任状が提出されたときは、議決権行使について提出を受け
た管理者等に「受任者の選択、賛否の意見等」についてすべて任すという趣旨に解
して取り扱うことが通例ですが、念のため(記載もれということもありますので)
時間の余裕があれば、本人に問い合わせ、明確にしたうえで、処理することが望ま
しいでしょう。(高層住宅法研究会編著、㈱大成出版社発売の「改訂版マンション
管理組合総会運営ハンドブック」170頁では、「総会に当たり白紙の委任状が提
出されたときは、議決権行使について、提出を受けた管理者等に「受任者の選択、
賛否の意見等」についてすべて任すという趣旨に解して差し支えありませんが、念
のため時間の余裕があれば、本人に問い合わせ、明確にしたうえで、処理すべきで
しょう」としています。)
また、そもそも白紙委任状が提出された場合、上記のような問題が生じ、トラブル となる場合があるため、そのようなトラブルを防止する観点から、例えば委任状の
様式等において、委任状を用いる場合には誰を代理人とするかについて主体的に決
定することが必要であること、適当な代理人がいない場合には代理人欄を空欄とせ
ず議決権行使書によって自ら賛否の意思表示をすることが必要であること等を記載
しておくことが考えられます(標準管理規約第46条コメント⑦)。
Q: 委任状と議決権行使書は、異なるものですか?
A: 組合員は総会における議決権行使の方法として、①本人が出席して議決権を行使
することのほか、②書面又は、③代理人によって、議決権を行使することができま
す(区分所有法第39条2項)。
標準管理規約は、組合員が代理人により議決権を行使する場合において、総会は管理
組合の最高の意思決定機関であることを踏まえ、組合員の意思が総会に適切に反映さ
れるよう、区分所有者の立場から利害関係が一致すると考えられる者に限定すること
が望ましいとし、組合員の配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)や
一親等の親族、その組合員の住戸に同居する親族及び他の組合員を規定例として挙げ
ています。また、総会の円滑な運営を図る観点から、暴力団員等は代理人の欠格事由
であることを規約に定めておくことも考えられます(標準管理規約第46条コメント⑤)
【判例】
専有部分が共有の場合、一部の共有者から提出された議決権行使の委任につき、特段
の事情がない限り他の共有者はそのことに合意していると推定すべきとしたものに
(横浜地裁昭和63年5月10日判決)があります。
Q : 書面決議の内容と書面決議を行う場合の手続きについて説明してください。
A : 区分所有法では書面決議が行われる際の手続きとして、次の2つの方法を定めて
います。
①1つ目は手続きを予め2段階に分けて行う方式です。1段階目として、まず書面
決議方法を採ることの承諾を得る手続きを採ります。これは、全組合員の賛成を
得なければならず、一人でも反対があれば、書面決議によることはできません。
全組合員の賛成が得られたとき2段目の手続きに移れます。2段階目として、あ
らためて具体の議案につき、書面で賛否を問うことになります(区分所有法第4
5条1項、標準管理規約第50条1項)。
②第2の方法は、最初から具体の議案につき書面による決議を求め、その書面によ
る決議の結果、議案について全員賛成であれば書面決議についての全員の承諾も
得られたとして有効に決議が成立とする方法です。これは、具体の議案につき書
面で全員の賛成が得られれば、その賛成の意思表示の中には、具体的な議案の賛
成とあわせて、書面による決議を行うことの承諾が含まれていると評価すること
ができるため、結果として全組合員から書面による決議方法を採ることの承諾を
得られたことと同じになると考えられることによります(区分所有法第45条2
項、標準管理規約第50条2項)。